白熊爺
5月14日に訪問。多くの人が一度は目にした事がある書道家「金子鷗亭」とその門人71人の書が石碑に刻まれ展示されています。松前藩屋敷に隣接した、一段高台になっている大きな駐車場に面してあります。山を背に芝生の整備された公園風の野外展示です。正面には金子鷗亭の像とその左右に金子氏の作品13基が展示されています。門人71名分の作品は背後の遊歩道沿いと、森の中のエリアの2カ所にあります。(森の中に大量の石碑が現れた時は、ちょっとびっくりしました)本来紙と墨のせめぎ合いという書の世界が、石に刻み込む方法をとり、しかもかなりの鋭角な感じでの刻み込みですから墨跡の外形は同じでも、ぎざぎざと刻まれた文字の表面は本来の印象とは全く異なると思いました。なぜかそこには墨を感じなかったですね。良い悪いではなく別物のものすごくパイパーな絵のような印象に仕上がっていました。観光案内所でこちらの紹介のパンフレットがあり、作品の写真が載っていますので見比べるのも楽しいかも知れません。金子氏本人が見たら何というか聞きたい所です。ただ、中国の書の石碑もこういったガリガリと削った物が多いのでその影響なのかも知れません。しかし、書をカリグラフィー、レタリングという観点で見れば、その勢いのある形はとても面白く、瑞々しい感情がほとばしっています。温厚そうな風貌の金子氏の内面の激しさがちょびっと垣間みれて面白いですし、造形はいまだに古さを感じさせない物だと思います。門人の方の作品も見応えのある造形の物が多いですね。書には興味が無くても、形として面白い絵画、文字デザインとして見ても充分に楽しく鑑賞できますよ。おすすめします。